近年、急速に拡大する設備や家電の「IoT化」。
私たちが日常で使うエアコンにも、IoT機能が搭載されたものが多く発売されています。
このコラムでは、IoT機能付きエアコンとはなにか、どんなことができるのかを徹底的にご紹介します。
IoT機能付きエアコン=「インターネットに接続されたエアコン」
「IoT機能が付いたエアコン」とは、どのようなエアコンなのでしょうか。IoTという言葉の意味とあわせてご説明します。
そもそも、IoTとは「モノのインターネット」
IoT機能付きのエアコンをご紹介する前に、IoTとはなにかをまず確認しましょう。
IoT(アイ・オー・ティー)は、”Internet of Things”の頭文字を取ったもので、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。私たちの身の回りにあるさまざまなモノをインターネットで繋げて、通信する仕組みや技術のことを指します。近年、住宅設備や自動車、腕時計、エアコンを含む家電などのIoT化が進み、さらに注目が集まっている分野です。
IoT機能付きエアコンは「インターネットと繋がったエアコン」
IoT機能付きエアコンとは、インターネットと繋がった(IoT化された)エアコンのことです。
従来型のエアコンは、運転の運転のオン・オフや温度設定などを手動で行う必要がありました。室内状況を把握して自動で運転ができるAI搭載エアコンも普及していますが、こちらも通常はインターネット通信を行いません。
IoT機能付きエアコンは、「AIを搭載したエアコンがインターネットと繋がってIoT化したモノ」だととらえていいでしょう。インターネット上の情報を活用することで、遠隔操作や消費電力・電気代の見える化といった、これまでできなかったさまざまな使い方が可能になっています。
IoT機能付きエアコンのメリット
IoT機能付きエアコンには、具体的にどのような機能があるのでしょうか。代表的な例を見ていきましょう。
①遠隔操作
IoT機能付きエアコンの大きな特徴として、エアコンの遠隔操作ができることが挙げられます。
家事や子育てで手が離せないときや外出中など、リモコンが手元にない場合でも、スマートフォンによるエアコンの遠隔操作が可能です。機種によっては、音声で遠隔操作できるものもあります。
②消費電力や電気代の見える化
エアコン使用で消費した電力や電気代を、スマートフォンやタブレットで確認できます。
消費電力や電気代をグラフで見られたり、過去分と比較できたりするため、年間を通した光熱費の管理も簡単になります。
③エアコン運転の最適化
IoT機能つきエアコンは利用者の生活パターンを学習し、自動で運転モードを切り替えながら最適な室内環境を目指して稼働することもできます。温度設定や運転モードの切り替えを手動で行う必要がありません。
IoTエアコンは、インターネット上の情報を使用した運転の最適化も行います。利用者のGPSの位置情報から帰宅時間を予測して部屋を暖めたり、天気予報(気温情報)をもとに一番適した運転方法で設定温度に到達させたりといった稼働が可能になります。
④省エネ・節約
従来型のエアコンは室温が設定温度に達しても、最初に選択した運転モードのまま稼働を続けるのが一般的です。そのため、必要以上のエネルギーを消費して、電気代も高くなるというデメリットがありました。
IoT機能が搭載されていれば、エアコンが自動で効率のいい運転を選ぶため、余分なエネルギーを消費せずに済みます。消費電力が抑えられれば、電気代の節約も可能です。また、スマートフォンで消費電力や電気代を簡単に確認でき、省エネルギーや節約への意識を手軽に高めることができます。
IoT機能付きエアコンのデメリット
様々な機能を持つ便利なIoT機能付きエアコンですが、購入前に知っておくべきデメリットもいくつかあります。
購入時や故障時のコストが高い
ひとつめのデメリットはコストの問題です。多くの機能を搭載しているIoT機能付きエアコンは、従来のエアコンより導入時の初期費用が高くなります。内部構造が複雑な分、故障時の修理代が高くなる傾向もあります。
搭載されている機能を十分に使いこなせないと、IoT機能付きエアコンのメリットを十分に活かせず、結果的にコストパフォーマンスが悪く感じることもあるでしょう。
インターネットがないと使えない
ふたつめのデメリットは、インターネットがないとIoT機能付きのエアコンとしては使えない点です。
インターネットに繋がっていない状態では、スマートフォンやタブレットによるエアコンの遠隔操作や室内状況の確認などができません。Wi-Fiが使える環境から外れている、スマホやタブレットが故障・充電切れしているといった場合が当てはまります。
セキュリティやプライバシーに関する懸念
最後は、セキュリティやプライバシーに関する懸念です。
IoT機能付きエアコンはインターネットに接続して使用するという特性上、サイバー攻撃を受ける危険性を排除できません。不正アクセスを受けることにより、第三者に操作を阻止されたり、個人情報が漏洩したりするリスクがあります。
IoT機能付きエアコンを導入するといい人
自分の生活に「IoT機能付きエアコンが適しているか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。IoT機能付きエアコンは、どんな人に向いているのでしょうか。
就寝時・起床時を快適な温度で迎えたい人
IoT機能付きエアコンは利用者の生活リズムを学習し、起床時や就寝時間を快適な室温で迎えられるよう、最も適した運転を自動で行ってくれます。
冬の朝に寒いリビングへ起きていって、部屋が暖まるまで待つのは辛いもの。IoT機能付きエアコンなら、起床時に部屋を快適な温度に暖めておけます。誰よりも早く起きる主婦の方に優しい機能とも言えるでしょう。
帰宅に合わせて部屋を快適な温度にしておきたい人
IoT機能付きエアコンでは、遠隔操作によって外出先から部屋を暖めたり冷やしたりすることができます。帰宅途中の電車の中からエアコンのスイッチを入れれば、部屋に着いたときに暑さ、寒さによる不快な思いをせずに済みます。
エアコンがインターネット通信を通して、利用者の帰宅時間やその日の天気情報を取得し、最適な温度になるように先回りして運転することもできるので、家についてすぐリラックスしたいという方にもおすすめです。
手間なく電気代を節約したい人
スマートフォンで消費電力や電気代を手軽に確認できるので、手軽に電気代の節約に取り組みたい方にも向いています。個別で電気代をチェックしたり計算したりする必要がなく、電気代の管理が簡単になり、節約への取り組みが楽になるでしょう。
エアコンによる運転の最適化で不要な電力消費をしないことも、電気代の節約につながります。
家族やペットを見守りたい人
IoT機能付きエアコンは、離れて暮らす高齢の両親が心配な方にもおすすめです。
両親が過ごす部屋のエアコンが適切な温度で稼働しているかを確認、遠隔で運転を操作できるので、室内での熱中症など健康リスクを下げることができます。 室温の上がりすぎや下がり過ぎを確認、予防できるのは、小さいお子さんやペットを飼われている方にも嬉しい機能と言えます。
【主要国内エアコンメーカー】IoT機能搭載機種と専用アプリの機能
現在、多くのメーカーがIoT機能付き・IoT化対応のエアコンを販売しています。どのメーカーも対応機種と専用のアプリを連動させて、エアコンをIoT化して使います。
新しいモデルやグレードの高い機種には、アプリ操作に必要な無線LANが内蔵されているケースが多いです。無線LANが内蔵されていないモデルでも、別売りのアダプターを付けることでIoT化できるものもあります。別途スマートスピーカーが必要になりますが、音声での操作に対応しているメーカーも多数あります。お手持ちの端末があれば、あわせてチェックするといいでしょう。
では、国内の主要なエアコンメーカー5社のIoT化に対応している機種や、アプリの特徴などについて見ていきましょう。
ダイキン
ダイキンのIoT機能付きエアコンは、「Daikin Smart APP(ダイキンスマートアプリ)」をスマートフォンやタブレットにダウンロードして使います。主力エアコンである「うるさらX」などが対応しています。
「Daikin Smart APP(ダイキンスマートアプリ)」では、エアコンのオン・オフなど基本的な操作に加え、室内の室温や湿度が高くなったときのスマートフォンへの通知などが行えます。
空調専門メーカーであるダイキンは、家庭用エアコンにも定評があります。IoT化に対応しているエアコンの取り扱いも2013年からと長く、実績のあるメーカーから安心感を持って選びたい方におすすめのメーカーと言えます。
パナソニック
パナソニックは、2012年に業界で初めてスマートフォンで遠隔操作ができるエアコンを発売しました。2017年以降は「エオリアアプリ」に対応した機種で、エアコンをIoT化することができます。
パナソニックのIoT機能付きエアコンには、「エアコンをつけっぱなしにしたほうが電気代が安くなるかどうか」を、エアコンとアプリが自動で判別してくれる機能が搭載されています。
部屋の空気質(空気のきれいさ)を確認できる機能があるのも特徴です。
エオリアアプリで他のパナソニックの家電もIoT化して使えるため、パナソニック製品を多くお持ちの方は購入を検討されるといいでしょう。
日立
日立の主力エアコン「白くまくん」では、2020年度のX/XC/Xシリーズ以降発売の機種がIoT化対応となっています。どのエアコンがIoT化に対応しているかは、HPで簡単に調べることができます。
日立の「白くまくんアプリ」は、他のメーカーに比べると機能がシンプルなのが特徴です。スマホの操作が苦手、機能が多すぎると使いこなせるか不安といった方は、日立のIoT機能付きエアコンを検討してみてください。
三菱
三菱のルームエアコン「霧ヶ峰」は、家電統合アプリ「MyMU(マイエムユー)」と連動させてIoT機能を使用します。「MyMU」の最大の特徴と言えるのが、室内の温度分布を確認できる「サーモでみまもり機能」です。
スマートフォンで、室内の温度の高いところ・低いところを熱画像として見ることができます。さらにスマートフォン上の熱画像をタッチして、好みの場所へのエアコンの気流調整も可能。これは国内家庭内エアコンでは三菱だけの機能です(2024年9月24日時点)。室内の熱の分布を確認し、遠隔操作で温度や気流を調整できることから、家族やペットを見守りたい方におすすめです。
日本キヤリヤ(東芝)
日本キヤリヤ(旧東芝)の主力エアコン「大清快」は「IoLIFE(アイオーライフ)」アプリに接続してIoT化します。「IoLIFE」の特徴は、フィルターお手入れの通知機能です。
エアコンフィルターの汚れを集めたダストボックスの掃除が必要になると、スマートフォンに通知を行ってくれます。通知を受けたスマートフォンで掃除の手順も確認できるので、お手入れ方法を別で調べる必要がありません。その他、エアコンのエラー時にも通知を受け、修理依頼ができる機能もあります。
エアコン以外の日本キヤリヤ(旧東芝)の家電、例えば冷蔵庫や洗濯機なども「IoLIFE」アプリと連動させて使用できます。アプリに登録した家電に合わせてアプリのホーム画面の表示がカスタマイズされ、利用者に必要な操作が見つけやすいことも特徴です。
登録したエアコンの活用法なども提案してくれますので、家電に詳しくない方でも、IoT機能付きエアコンの便利な機能を十分に活かすことができるでしょう。
まとめ
IoT機能付きエアコンについて紹介しました。IoTの仕組みやIoT化されたエアコンでできることを知れば、生活がより便利になり、毎日を快適に過ごせるようになります。
IoT機能付きエアコンを購入したい、エアコンのIoT化についてもう少し詳しく知りたいなどのご希望があれば、お気軽にエアココまでご相談ください。エアコン専門業者の視点から、お客様に合ったエアコン選びのお手伝いをさせていただきます。