電気代の高騰により、省エネ家電の需要が高まっています。一方で、物価上昇が継続していることもあり、大きな出費となる家電の買い替えに二の足を踏んでしまうという方も多いですよね。
そこで今回は、家庭用エアコンに利用できる補助金制度についてご紹介していきます。
補助金の導入が増えている背景
家庭でのエネルギー消費量は、1973年度から2018年度までの間に約2倍近く増加しています。その背景には単身者の増加などによる世帯数の増加だけでなく、利便性や快適性を追求するライフスタイルの変化が大きく影響していると言われています。
エネルギーの消費量を抑えることは、地球温暖化などの環境問題対策の他に、エネルギーの安定供給を維持することにもつながります。
特にエネルギー資源の多くを輸入に頼っている日本の場合、限られたエネルギーをいかに効率よく利用できるのかはこれから重要な課題となっていきます。他人事だと思わずに、1人1人が省エネ意識をもって行動していくことが大切なのです。
近年では、技術の進歩とともに、家電をはじめとした電化製品のエネルギー効率が大きく向上しています。以下のグラフをご覧ください。
資源エネルギー庁の運営する省エネポータルサイトによると、エアコンの省エネ性能は10年前の平均と比べ、167kWh/年も向上しているといいます。
どのくらいの違いか分かりにくいかもしれませんが、全国家庭電気製品公正取引協議会が「新電力料金目安単価」として示す「1kWhあたり税込31円」という基準をもとにすると、最新型のエアコンに買い替えるだけで年間約5,177円分も電気代を抑えられる計算になります。電気料金は地域や契約先によっても異なりますが、この違いは大変大きいですよね。
これらの背景から、現在日本では、国や地域が主体となり、家庭用エアコンを含む省エネ家電への買い替えを促進する施策が積極的に行われているのです。
国による補助金制度「子育てエコホーム支援事業」
それでは、具体的にどのような補助金制度があるのでしょうか。家庭用エアコンの買い替えに利用できる補助金制度は、国が主体となるものと自治体が主体となるものの大きく2つに分けられます。
まずは国が主体となって行っている「子育てエコホーム支援事業」から、詳しく見ていきましょう。
事業概要
「子育てエコホーム支援事業」は、物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯の省エネ投資を支援するために、国が行っている施策です。
補助の対象は、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「リフォーム」に限定されています。
エアコンの買い替えは「リフォーム」を行う場合に該当し、事務局に登録された型番の空気清浄機能・換気機能付きエアコンを設置する場合に限り、冷房能力に応じて以下のような補助額が設定されています。
参考URL:2024年_子育てエコホーム支援事業
利用する際の注意点
この補助金を利用する場合に注意したいのが、「エアコンの買い替えだけ」では利用できないという点です。
「子育てエコホーム支援事業」の対象となるリフォーム工事には、以下のようなものがあります。
①開口部の断熱改修
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレ、蓄電池など)
④子育て対応改修(ビルトイン食器洗機、浴室乾燥機、宅配ボックスなど)
⑤防災性向上改修(窓ガラス)
⑥バリアフリー改修
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
補助金の申請には①~③の工事が必須となっており、エアコンの設置を含む④~⑧の工事は必須となる工事と同時に行う場合のみ、補助の対象となります。
ただし例外として、環境省が実施する「先進的窓リノベ2024事業」や経済産業省が実施する「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」のいずれかで交付の決定を受けている場合は、①~③のいずれかに該当する工事を含んでいるものとみなされます。
エアコン単体の買い替えだけでなく複数個所のリフォームを検討している場合は、こちらの補助金を選択肢に入れておくと良いでしょう。
自治体による補助金制度
国による補助金制度以外に、各地域の自治体が行っている補助金制度も数多くあります。どのような施策が行われているのか、参考にいくつかの例を見てみましょう。
東京都:家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)
東京都が実施している「家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)」は、家庭内で利用しているエアコン・冷蔵庫・給湯機・照明器具を、省エネ性能の高いものに買い替えた都民を対象とした施策です。
申請者には買い替えた製品の省エネ性能を基準とした「東京ゼロエミポイント」が付与され、ポイント数に応じた商品券とLED割引券と引き換えることができます。エアコンの場合、付与されるポイント数は以下の通りです。
申請対象の購入期間は2019年10月1日から2024年9月30日購入分まで、申請受付は2024年10月31日までとなっていますが、所定予算が消化され次第、受付終了してしまうため、注意が必要です。
これから購入を検討されている方は、公式サイトの最新情報をしっかりチェックしておくことをおすすめします。
品川区:令和6年度 省エネルギー家電設置助成事業
東京都品川区では、「省エネルギー家電設置助成事業」として独自の助成を行っています。この事情では、既設機器のリサイクルを伴った省エネルギー家電の買い替えのみが対象となっているのが特徴です。
助成の対象機器はエアコンと冷蔵庫に限定されており、それぞれ日本産業規格C9901(目標年度2027年度)に基づく省エネルギー基準達成率が基準として定められています。
助成金額はエアコン、冷蔵庫ともに1万円と設定されており、それぞれでの申請も可能です。
ただし受付予定件数が750件と決まっており、こちらも予算がなくなり次第、受付終了するとのこと。品川区公式サイト内に受付状況の件数も記載されていますので、事前に確認しておくと安心でしょう。
千葉県香取市:香取市省エネ家電製品買換え促進補助金
東京都以外の自治体でも、省エネ家電への買い替えを促進する施策が行われています。
千葉県香取市では「香取市省エネ家電製品買換え促進補助金」を行っており、令和6年6月3日から申請の受付が開始される予定です。
品川区と同じく、古くなった製品を省エネ効果の高い対象製品に買い替える場合のみが対象とされており、エアコンの場合はC9901(目標年度2027年度)の省エネルギー基準達成率100パーセント以上を満たす製品が対象となります。
補助金額は本体購入費の30%(千円未満切り捨て)となっており、上限は5万円に設定されています。1世帯当たり1回のみ補助対象となるため、テレビや冷蔵庫、LED照明など他の省エネ家電の買い替えも検討している場合は同時に申請するよう注意が必要です。
自治体による施策は必要となる条件や補助金額の上限、申請期間などがそれぞれ異なります。年度ごとに施策が切り替わる地域も多いので、お住まいの地域で利用できる制度がないか、最新の情報をチェックしてみてください。
まとめ
世界的な環境問題やエネルギー資源の問題を背景に、国や自治体は省エネ家電への買い替え促進に力を入れています。補助金の制度は、条件や期間だけでなく、どのように還元されるのかをチェックしておくことも大切です。夏に向けて省エネ家電への買い替えを検討している場合は、購入前にしっかり情報収集するようにしましょう。
リンテックでも、利用できる補助金について相談を受け付けております。省エネルギー基準の達成率など専門的な部分も分かりやすくご説明いたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。