エアコンを購入する際に、何畳用のエアコンを選べばいいのか、迷ったことはありませんか。
カタログにある「6畳」「8畳」などの表示を目安に選ぶ方も多いかもしれません。
しかし、「〇畳」の表記だけをチェックしていても正確な情報はわかりません。
実は冷房時と暖房時でも畳数の目安には差があり、必要以上の性能を持った製品を購入してしまうと、購入費用や日々の光熱費などが高くなってしまう危険性があるのです。
反対に機能が不十分なエアコンを買うのも、余計な電気代がかかる原因になります。今回は、適切なエアコンをどのように見分ければいいのかをご説明します。
「6畳だから6畳用」はNG?畳数表示だけでエアコンを選んではいけない理由
「6畳の部屋には6畳用のエアコンを選ぶのがいい」、または「余裕を持って8畳用のエアコンをつければいい」と考える方は少なくありません。しかし、実はカタログなどに載っている「〇畳用」を見るだけでは、その部屋に適切なエアコンが選べないことがあります。
エアコンのカタログにある「畳数の目安」は、今から60年ほど前の1964年に作られたものです。当時は断熱材が使われていない無断熱の住宅がほとんどで、室内は外気の影響を受けやすく、今よりもエアコンも効きにくい状態でした。
現在では、住宅の断熱性・気密性は格段に上がっており、「無断熱の家の6畳用」という当時の条件が前提で作られたエアコンでも、より大きな部屋を十分に冷やせるようになってきています。
実際の部屋に合わないエアコンは余計な電気代・購入代がかかる
部屋に対して、必要以上に大きなエアコンをつけるとどうなるのでしょうか。まず、エアコンの購入代金が高くなります。また、対応畳数が大きいエアコンほど消費電力が多くなるので、電気代も上がることになります。
反対に小さなエアコンを選べばいいのかというと、そうではありません。部屋に対して小さすぎるエアコンでは、室温を設定温度まで下げるのに時間がかかります。この場合も、余計な電気を消費することになり、電気代が高くなる可能性があるのです。
必要以上の購入代金や電気代をかけないためにも、エアコンは部屋の大きさや状況に応じて適切に選ぶことが大切です。
購入前に必ず確認!メーカーカタログで分かるエアコンの性能
どのエアコンが適切なのかを見分けるためには、メーカーのカタログに書かれているエアコンの情報を確認する必要があります。
確認する上で知っておきたいのが、「畳数の目安」の意味です。また、その他の情報も、エアコンを選ぶ際のヒントになるので、あわせて確認しましょう。それぞれの項目について解説します。
カタログに記載されている「畳数の目安」の本当の意味
引用URL:https://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/lineup/xseries_f/
エアコンが対応している部屋の広さを示すのが「畳数の目安」で、カタログには図のように暖房時と冷房時のそれぞれ「〇畳~〇畳」と記載されています。畳数の目安が6~9畳であれば、6~9畳の部屋に適したエアコンだと思われるかもしれませんが、実際は少し異なります。
畳数の目安に書かれている数値は、先に書いてある畳数が「木造平屋にある南向きの和室」を想定したもの、後ろに書いてある畳数が「鉄筋コンクリート造マンションにある南向きの洋室」を想定したものになっています。つまり、畳数の目安に6~9畳と書かれている場合、そのエアコンは
・木造平屋南向き(和室)なら6畳
・鉄筋コンクリート造マンション南向き(洋室)なら9畳
に適していることを意味します。同じエアコンでも「木造の和室」と「鉄筋コンクリート造の洋室」で、対応できる畳数が異なるのには、建物の構造による機密性の高さが関係しています。鉄筋コンクリート造は木造よりも気密性が高く効率的に部屋を冷やすことができるため、たとえ同じエアコンを使用しても冷やせる範囲に大きな差が出るのです。
「6畳用」とされているエアコンでも、「冷房使用時の目安が6~9畳」なら、鉄筋コンクリート造の洋室は9畳まで対応できるということ。6畳の部屋はもちろん、8畳の部屋でも十分冷やせます。「8畳の部屋だから、8畳用エアコンにランクアップしなければいけない」というわけではありません。
エアコンのパワーを表す「能力」
「畳数の目安」の右隣には「能力」の値が書かれています。
「能力」はそのエアコンが安定して出せる冷暖房の標準的なパワーのことで、kW(キロワット)で表されます。
通常、対応畳数に比例してkW数は増え、値が大きいほど冷暖房能力が高くなります。また、最小値と最大値も合わせて記載されている場合は、その差があるほど、エアコンが出せるパワーの範囲が広く、高性能であるということになります。
「消費電力」や「期間消費電力量」から電気代の計算が可能
「消費電力」はエアコンを標準的に運転したときの消費電力で、W(ワット)で表されます。消費電力の値が小さいほうが、電気代が安くなります。
この消費電力から、エアコンの電気代を計算できます。
また、1年間の電気代は、カタログに記載されている「期間消費電力量」からも計算できます。期間消費電力量は、エアコンが1年で消費する電力量の目安となる数値です。消費電力、期間消費電力量共に、値が低い方が消費電力が少なく、電気代の削減につながります。
「省エネルギーラベル(省エネラベル)」でエアコンの省エネ性をチェック
引用URL:https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220901002/20220901002.html
エアコンの「省エネルギーラベル(省エネラベル)」から、エアコンの省エネルギー性能を知ることができます。エアコンを見分けるための目安となるので、あわせて確認しましょう。
「省エネラベル」には省エネ性マーク、省エネ基準達成率、エネルギー消費効率(APF)、目標年度が表示されています。なお、省エネラベルに記載される最新の目標年度は2027年、それ以前は2010年となっています。
部屋別!エアコンの見分け方とおすすめの選び方
設置する部屋の用途によって、どのエアコンが適しているのかを見分けることも必要です。どの部屋に、どんなエアコンをつければいいのでしょうか。
人が集まるLDKは大きいエアコンがおすすめ!間取りにも注意
家族みんなが使い、人の出入りが多いLDKは、部屋の畳数より大きめで上ランクのエアコンを選ぶのがおすすめです。特にキッチンは暑くなるので、サイズが小さく機能が不十分なエアコンだと、LDK全体がなかなか冷えません。
LDKは間取りや設置場所によっても、エアコンの効きが大きく変わってきます。エアコン選びに困ったら、専門の業者に相談するのもいいでしょう。
寝室のエアコン選びは「快適に眠れるか?」を基準に
夜間の使用がメインの寝室では、「快適に眠れるか?」を基準にエアコンを選びましょう。
部屋に対してエアコンが大きいと、冷房が効きすぎて部屋が寒くなりすぎる可能性があります。つけっぱなしで寝ても冷えすぎないように、自動調整機能のあるエアコンがいいでしょう。また、稼働音が眠りを妨げないように、静音機能つきのエアコンを選ぶのもおすすめです。
使用時間が短い子ども部屋はコンパクトでシンプルなエアコンでOK
子ども部屋は小さな部屋であることが多いため、部屋の畳数よりも大きいものを選ぶ必要はありません。
基本的に子ども部屋は、日中は学校などの外出で使われず、使用時間や頻度が低いケースが多いです。そのため、コンパクトなサイズで基本的な機能が搭載されているエアコンで十分だと言えます。
大きめのエアコンをつけたほうがいいケース
部屋の造りや建物の構造上、表示畳数より大きめのエアコンを選ぶのがいいケースもあります。次のような部屋・建物は、高機能で大きいサイズのエアコンの購入を検討しましょう。
吹き抜けのある部屋
吹き抜けのある部屋は、天井が上下階と繋がっていて空間が広い分、通常の部屋よりエアコンが効きにくくなります。
また、上階に採光用の窓があることが多く、太陽の光や熱の影響を受けやすくもなります。吹き抜けの部屋で効率的にエアコンを効かせるためには、実際の部屋の畳数より大きいエアコンを設置するのがいいでしょう。
窓が大きい・日当たりがいい部屋
窓が大きい部屋や日当たりがいい部屋にも、畳数の目安が大きめのエアコンがおすすめです。
窓が大きい・日当たりがいい部屋は、太陽の光や外気の影響を受けやすく、畳数の目安が小さいエアコンではなかなか設定温度まで室温が下がりません。部屋を冷やすのに時間がかかると、消費電力が大きくなり電気代の高騰にもつながります。
建物の最上階
暑くなりやすい建物の最上階の部屋にも、畳数の目安が大きいエアコンを選ぶといいでしょう。これは、最上階は日光を吸収しやすく、長時間熱を保つ屋根や屋上が理由で室内が暑くなりやすいためです。
マンションの最上階の部屋では、周りに光を遮る建物がなく、日当たりがいいことも多いです。効率よく部屋を冷やすために、畳数の目安が大きいエアコンにすることを検討してみてください。
無断熱の住宅・断熱性の低い住宅
築年数が古い建物の場合は、無断熱など断熱性能が低いケースや建物自体の気密性が低いケースが考えられます。
築浅の住宅より冷房効率が低くなると予想されますので、この場合も畳数表示が大きめのエアコンを設置するのがおすすめです。エアコンを選ぶ際は、建物の築年数や断熱性もチェックしましょう。
エアコンの暖房機能を使うなら「暖房使用時の性能」を基準に選ぶ
同じエアコンでも、冷房と暖房で「畳数の目安」が異なります。冷房より暖房の対応畳数の方が小さいのが一般的です。
引用URL:https://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/lineup/xseries_f/
上の図の畳数の目安では、暖房時が6~7畳、冷房時が6~9畳となっています。8畳の部屋の場合、冷房機能では対応可能ですが、暖房機能を使うには足りない、ということになります。
冬場にエアコンの暖房機能を使うのであれば、基本的に「暖房使用時の畳数の目安」を参考にエアコンを選ぶようにしましょう。床暖房やヒーターなどを併用するかによっても、実際の室温は変わります。部屋での暖房器具の使用状況を含めて判断しましょう。
まとめ
部屋に適したエアコンを見分けるためには、カタログの「〇畳用」という表示だけではなく、「畳数の目安」など他の情報も確認することが必要です。
また、部屋の形状や用途、生活スタイルなども考えて、どのエアコンにするのか考えるようにしましょう。
ご自身では適切なエアコンを選ぶのが難しいと感じる場合や、詳しいエアコンカタログの見方が分からない場合は、ぜひ弊社へご相談ください。お客様に合ったエアコン探しのお手伝いをさせていただきます。