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エアコンは、私たちの生活空間を快適に保つための必需品です。しかし、家電量販店のエアコンコーナーに足を踏み入れると、様々なメーカーの製品が並び、「2.2kW」「2.8kW」「4.0kW」といった「能力表示」が目に飛び込んできます。
「一体この数字は何を意味するの?」
「自分の部屋にはどれを選べばいいの?」
と、思う方も少なくないと思います。
この記事では、そんなエアコンの「能力表示」について、基本的な意味から、ご自身の住まいに適した一台を見つけるためのポイントまで、分かりやすく解説していきます。
エアコンの「能力表示」とは?
引用URL:日立 住宅設備用カタログ 2025-3
家電量販店などに行くとこのような能力表示を目にすることはありませんか。
この能力表示の内容には、畳数の目安や能力、消費電力、APFや省エネ基準達成率などいろいろな数字があってそれぞれどのような意味なのか分からないですよね。
それぞれの項目ごとにどういった意味なのかを詳しく解説していきます。
能力表示の「畳数の目安」とは
畳数の目安には、「〇~〇畳」というように、目安の畳数が表示されていますが、この畳数を鵜呑みにして購入すると損をしてしまう可能性があります。
まず、カタログに表示された畳数の目安は1964年に制定された基準です。
当時の家は「無断熱住宅」といって気密や断熱を気にせず家を建てていたので、そのころの基準が目安となったカタログの数値を信じ込んでしまうとオーバースペックになるわけです。
大切なのは、設置する場所や気密性の高い部屋なのかを意識することです。
例えば、木造住宅の長期優良住宅に住んでいて、10畳の部屋にエアコンを設置する場合は「6畳」であっても十分暖まります。
適切な畳数を算出するための計算式
エアコンの適切な畳数を選ぶときに参考にしていただきたい計算式が↓こちらです。
「部屋面積(平米)×U値(24℃ - 外の気温)= 必要な暖房能力(W)」
です。
木造住宅の長期住宅で10畳の部屋にエアコンをつける場合のケースに当てはめてみましょう。
部屋面積(平米)×U値(24℃ - 外の気温)= 必要な暖房能力(W)
↓ ↓ ↓ ↓
18.24 (平米)× 5.0(24℃ - 3)= 1915(W)
必要な暖房能力が「1915(W)」となります。
6畳の能力は、冷房時は2.2kW(2200W)で暖房時は2.5kW(2500W)なので、6畳用でも十分暖まるということがわかります。
エアコンの「能力(kW)」とは?
エアコンの能力(kw)は、エアコンの標準パワーのことで、これが大きいほど冷暖房の能力が高いことを示しています。こちらで部屋に必要な能力を満たしているかが判断できます。
エアコンの標準的なパワーを示しており、これが大きいほど冷暖房能力が高いです。
ちなみに()の中の数値はパワーの範囲を示しています。最大数値が大きいほど冷暖房が素早く効果を出してくれます。
エアコンの「消費電力(W)」とは?
エアコンの消費電力(W)は、標準パワーで運転したときに使う電力のことを言います。
標準パワーが暖房時は能力2.5kWなので、2.5kWで運転しているときに430Wの電力を使うという意味です。こちらで電気代や省エネ性能の判断ができます。
多くの人が暖房に必要な能力を消費電力として思いがちですが、消費電力というのは、「電気をどれくらい使うか」であって、部屋を冷やしたり温めたりするパワーのことではありません。
以下の意味をしっかり理解しておきましょう!
✓ 能力(2.5kW)=部屋を温める・冷やす力
✓ 消費電力(580W)=電気代や電力契約の目安
エアコンの「期間消費電力量(kWh)」とは?
期間消費電力量(kWh)は、年間通してどれくらい電気を使うかの目安のことを言います。
6畳のエアコンには「570(kWh)」と記載されています。これに1kWの電気代をかけると年間の電気代が計算できます。
例えば、1kWhの電気代が29円だとすると
「570(kWh)× 29円(1kWhあたりの金額) = 16,530円 / 年間」
となります。これを、12か月で割ると1か月あたり1377円 / 月 ということになります。
エアコンの「省エネ性能達成率」「APF」とは?
省エネ性能達成率は、「国が決めた省エネ基準にどれだけ達成しているか」を示したものになります。
環境負荷の観点からエネルギー消費を抑えるためにこのような基準が設けられています。
続いて「APF」は、エアコンの省エネ性能を示す指標です
上記画像のような表示の場合は、省エネ達成率が100%を超えているので、省エネ性能が高いということが判断できます。
省エネ達成率が高ければ高いほど、エネルギーの消費が高く、電気代も安くなります。
エアコンの「単相100V」とは?
家庭用エアコンには、「単相100V」「単相200V」の2種類があります。
消費電力が大きいと単相200Vの設置が必要となり、コンセントを変換する工事費用が別途発生します。
消費電力は主にエアコンの畳数によって変わります。単相100Vの場合は「6畳~12畳」が一般的です。「14畳以上」になると単相200Vになります。
ここは、ご自宅の部屋の広さやどれくらい素早く温度調整をおこなってもらいたいかなどを考えて畳数に適したエアコンを選ぶようにしましょう。
エアコンの「低温暖房能力(kW)」とは?
低温暖房能力(kW)とは、外の温度が「2℃未満」のときに発揮する最大暖房能力です。
冬場にエアコンを使う人はここの項目は見るようにしましょう。
ここは、能力の基準kW(暖房2.5kW)よりも1.3倍~2.0倍近いくらいの数値が表示されていれば寒い日でも十分部屋を暖められると考えてよいと思います。
能力表示を正しく理解して、快適&省エネなエアコン選びを!
エアコンの「能力表示」は、冷暖房能力・電気代・省エネ性能・設置可能な電圧など、多くの情報が詰まった重要な指標です。
「畳数の目安」だけにとらわれず、自宅の構造や気密性、生活スタイルを考慮して選ぶことが大切です。
特に以下のポイントを押さえておきましょう:
✓実際の暖房・冷房能力(kW)をチェック
✓消費電力(W)や期間消費電力量(kWh)**でランニングコストを比較
✓APFや省エネ達成率で省エネ性能を判断
✓対応電圧(100V/200V)を忘れずに確認
✓寒冷地の方は低温暖房能力も必ずチェック
しっかりと数値を読み解いて、快適かつ経済的な暮らしに合った製品を選びましょう!