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近年では異常気象によって、熱中症による死亡者数は増加傾向にあります。
引用:熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)より(厚生労働省)
特に60歳以上の高齢者の死亡者数は、2010年の猛暑年には300人を超え、2018年以降も毎年200人以上の命が失われています。
高齢者の方は、若い方に比べて暑さを感じにくく、気づかないうちに体温を上げてしまうため、家族や周りの人の適切なエアコン管理や見守りが命を守る重要な役割になります。
本記事では、統計データが示す現実に踏まえて、高齢者の体の特徴に配慮したエアコンの正しい使い方と効果的な熱中症対策をご紹介していきます。
なぜ高齢者は熱中症になりやすいの?
ここでは、高齢者が熱中症になりやすく3つの理由をご紹介します。
1. 暑さや寒さを感じにくい「感覚の鈍化」
引用元:東京消防庁 年齢区分別の救急搬送人員(令和6年6月~9月)
東京消防庁のデータでは、熱中症による救急搬送者の約55.4%が高齢者です。
高齢になると年齢とともに皮膚の感覚が鈍くなり、室温30℃を超えていても「まだ大丈夫」と感じてしまいます。そのため、「暑い・暑くない」の感覚ではなく、温度計の数値やエアコンの自動調整機能を基準にすることが重要です。
2. 体温調整機能の低下
高齢者になると汗をかく機能が低下してきます。
すると、体温を下げることが難しくなり、さらに、汗をかかないことで「喉の渇き」も感じにくくなるため、気づかないうちに脱水症状が進行するリスクもあります。
3. 持病や薬の影響
糖尿病や高血圧の治療で利尿作用のある薬を服用している場合、通常よりも脱水症状になりやすい状態です。
特に夏場はこまめな水分補給が必要となるので、周りの家族の方は「お茶一杯どう?」と声をかけるだけでも十分効果的な予防策になります。
【季節別】高齢者に最適なエアコン設定方法
エアコンは季節ごとに注意点や使い方のポイントが異なります。
夏は「熱中症の予防」、冬は「乾燥とヒートショック対策」、春や秋は「寒暖差への対応」と、それぞれの季節に合った設定を心がけることが大切です。家族の健康を守るために、具体的な使い方を季節ごとに見ていきましょう。
夏の設定:熱中症から守る「つけっぱなし運転」
夏の猛暑では「冷房をつけっぱなし」にするのが基本です。
推奨温度は28℃ですが、湿度が高いと体感温度はさらに上がります。湿度は50〜60%を目安に、除湿モードやドライ機能を活用するのがおすすめです。
また、高齢の方が「夜は冷えすぎるから」と冷房を切ってしまい、夜間に熱中症になってしまうケースも多く聞かれます。就寝時には、就寝時は「自動運転モード」や「快眠モード」を活用し、エアコンに温度調整を任せることが安全です。
■推奨設定
温度:28℃
湿度:50℃~60℃
運転:24時間つけっぱなし
冬の設定:乾燥とヒートショック対策
冬のエアコン使用では乾燥が課題になります。湿度が40%を下回ると風邪やインフルエンザのリスクも高まるため、加湿器の併用がおすすめです。
さらに、冬場に特に注意したいのが「ヒートショック」です。
リビングと浴室の温度差で血圧が急上昇し、心臓や脳に負担がかかり、最悪の場合は死に至ることもあります。入浴の30分前から浴室暖房をつけたり、小型ヒーターで洗面所を温めたりしておくことが事故防止に効果的です。
■推奨設定
温度:20-22℃
湿度:40-60%(加湿器併用)
注意:浴室・洗面所との温度差を5℃以内に
春・秋の設定:自動運転で寒暖差対策
春や秋は「朝晩は涼しいけれど昼間は暑い」といった寒暖差が激しい季節です。この時期は、エアコンの自動運転モードやタイマー機能が大活躍。温度を一定に保つことで体への負担を軽減できます。
特に、高齢者は気温変化に体が適応しにくいため、自動で調整される環境を整えておくとよいでしょう。冷たい風が苦手な方には、風向きを上向きにして直接体に当たらないようにする工夫や、サーキュレーターで空気を循環させる方法も有効です。これなら体が冷えすぎず、部屋全体を均一に快適に保てます。
■冷たい風が苦手な場合の工夫
風向きを上向きに設定
サーキュレーターで空気を循環
間接的な風で部屋全体を均一に冷却
高齢者の熱中症を確実に防ぐ5つの対策
高齢者の熱中症を防ぐには「エアコンを正しく使う」ことが第一歩ですが、電気代への心理的なハードルや、離れて暮らす家族の見守りなど、生活環境全体を見直す必要があります。
ここからは、家庭で実践できる具体的な予防策を紹介します。
1. 電気代の誤解を解く
実は、エアコンをこまめにオン・オフするよりもつけっぱなしの方が電気代が安くなります。
エアコンは起動するときに最も多くの電力を消費するので、こまめにオンやオフを繰り返してしまうと逆に電気代を押し上げてしまいます。自動運転の方が効率的で節電効果が高いことを祖父母にちゃんと説明して安心してエアコンを使えるようにサポートしましょう。
過去の記事でエアコンのつけっぱなしについて詳しく解説しているのでこちらもぜひ参考にしてみてください。
参考URL:エアコンはつけっぱなしの方がお得?猛暑だからこそ知りたい節電効果の高いエアコンの使い方
2. IoT機能で遠隔見守り
最新のエアコンには、スマホから稼働状況を確認できる機能が搭載されています。離れて暮らす高齢の両親が暑い日にエアコンを使用していない場合、すぐに電話で注意を促すことができます。
3. 音声操作で簡単操作
「暑いから冷房つけて」と話しかけるだけで操作できる音声対応エアコンなら、リモコン操作が困難な高齢者でも簡単に使用できます。
4. 定期的な水分補給の声かけ
高齢者は喉の渇きを感じにくいため、家族からの積極的な声かけが重要です。1日8回程度、「お茶はいかが?」と声をかけるだけで脱水予防に大きな効果があります。
5. 室温・湿度の見える化
温湿度計を高齢者の目につく場所に設置し、数値を定期的にチェックする習慣をつけましょう。「28℃・湿度60%」を超えたら迷わずエアコンを使用するルールを作ることが効果的です。
まとめ:高齢者の命を守るエアコンの正しい使い方
高齢者にとってエアコンは、快適さのためではなく「命を守るための必需品」です。
✅重要なポイント
・28℃設定でつけっぱなし運転
・湿度50-60%を維持
・感覚に頼らず温度計を基準に
・家族による見守りとサポート
適切な知識と小さな工夫の積み重ねが、高齢者の健康と安全を守る最も確実な方法です。エアコンを正しく活用して、安心で快適な毎日を過ごしましょう。
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