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エアコンの効きが悪い、部屋がなかなか温まらない、電気代がやたら高い…。
このような場合、多くの人はまず、エアコンの故障やスペック不足を疑います。
ところが、住まい自体の断熱性が問題になっている場合も少なくありません。
とはいえ、いきなり大掛かりな断熱リフォームをするのはハードルが高いもの。
そこで今回は、エアコン専門家の視点から、今日からできる小さな断熱対策と断熱性が低い家におすすめのエアコンの選び方をご紹介します。
断熱性がエアコンの効きに与える影響とは?

「断熱性」は、熱の移動をどれだけ抑えられるかを示す性能のことです。
断熱性が高い家は、外気温の影響を受けにくく、魔法瓶のように快適な室温を長く保ちます。
断熱性能とエアコン性能は、一見関係のない話に思えるかもしれませんが、実はエアコンの効き具合を決める重要な要素です。
エアコンがどんなに高性能でも、家の断熱性能が低ければ、その力を十分に発揮することはできません。
断熱性が低い家のデメリット

本来エアコンは「設定温度まで強い運転で、ぐっと冷やす/温める→ その後は弱い運転で室温を維持」という稼働サイクルが効率的です。
しかし、断熱性が低い家では、せっかく快適な温度に整えた空気が、窓や壁の隙間から外へ逃げてしまいます。すると、エアコンは設定温度を維持しようとして、休みなく強運転を続けることに。
その結果、以下のような悪循環に陥ってしまいます。
■電気代が高くなる
フルパワーに近い運転が必要になり、無駄な電力消費が増えます。
■室温が安定しない
外気の影響で室温が上下しやすく、快適な状態を維持できません。
■機器の寿命に影響
常に高負荷で運転するため、エアコン本体の寿命を縮める原因にもなりかねません。
あなたの家は大丈夫?断熱性が不足している典型サイン

エアコン自体には問題がないのに、「どうも効きが悪い」「設定温度にしても快適ではない」と感じる場合、家の断熱不足が原因かもしれません。以下の症状に心当たりのある方は、チェックしてみましょう。
☐ 窓付近だけ寒い/暑い
✓ 窓ガラスやサッシを通して外気が侵入・熱が流出しているサイン
☐ ②足元だけ冷える
✓ 冷たい空気が床面に溜まりやすく、壁や床からの冷気が遮断できていない可能性がある。
☐ ③冷暖房を止めるとすぐに元の温度に戻る
✓ 魔法瓶効果がなく、熱を保持できていない可能性が考えられる
☐ ④エアコンの近くと離れた場所で温度が違う(室温ムラ)
✓ 部屋全体に冷暖気が行き渡る前に熱が逃げている可能性があります。
DIYでできる!簡単にできる断熱対策

引用:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 / 開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?
日本建材・住宅設備産業協会のデータによると、冬の暖房時に開口部から失われる熱は58%、夏の冷房時に開口部から入る熱は73%にも及びます。
つまり、家の快適さをアップさせるには、部屋の開口部、特に窓の断熱性を高めることが重要です。「断熱」と聞くと、大掛かりなリフォームを想像しがちですが、実際は小さな工夫でも体感温度は大きく変わります。
実際、エアコン取り付けの現場で「窓周りの断熱対策だけでもエアコンの効きが変わるのに…」と感じることは少なくありません。そこで今回は、誰でも簡単にできる窓まわりの断熱対策をご紹介します。
①窓に断熱シートを貼る

窓に断熱シートを貼ると、シートと窓ガラスの間に空気の層ができ、断熱効果が高まります。
夏は外の熱を遮ることで室温の上昇を抑え、冬はエアコンで温めた暖気を外に逃げにくくできます。さらに、結露を軽減できるため、カビ予防にもつながります。作業が簡単なので、DIY初心者にもおすすめの方法です。
②遮熱・断熱カーテンに交換する

薄手のカーテンを使っている場合は、遮熱タイプや厚手の素材に替えるだけで断熱効果が期待できます。
夏は窓から入る強い日射熱をカットし、冬は外の冷気をブロックすることで、エアコンの効きをサポートします。床まで届く長めのカーテンは、足元の冷え対策にも有効です。
③ドアやサッシの隙間テープ

ホームセンターや100円ショップでも購入できるドアやサッシの隙間テープも、おすすめの断熱アイテムです。特に、築年数の古い戸建て住宅は目に見えない隙間が多い傾向があるため、隙間を埋めることで外気の侵入を防ぎ、エアコンの効率向上が期待できます。
隙間テープを貼る場所は、窓枠サッシの上下のレール部分や縦枠(戸当たり部分)、引き戸の下部など。これらは、隙間風の原因になりやすく、虫も侵入しやすい箇所です。しっかり塞いでおきましょう。
断熱性が低い住宅に適したエアコンの選び方

今お住まいの住宅の断熱性能が低いと感じている場合でも、エアコン選びを工夫することで快適に過ごすための対策ができます。
順番に見ていきましょう。
除湿性能が高い機種を選ぶ
断熱性が低い家は、外気の温度だけでなく湿度の影響も受けやすいという弱点があります。
そのため、除湿機能の優劣が快適性を左右します。
| 季節 | 湿度の影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 夏 | 湿度が高いと実際の室温よりも 体感的に暑く感じ、不快感が増す |
湿気を取り除くことで、 設定温度が高めでもサラッと快適に過ごせる |
| 冬 | 高すぎる湿度は窓や壁の結露を引き起こし、 カビやダニの原因になる |
適切な除湿で、結露の発生を抑え、 健康的な環境を保つ |
冷暖房機能ばかりに注目しがちですが、意外と除湿機能も快適性を大きく左右するので要チェックです。
特に以下の除湿機能が搭載されている機種がおすすめです。
■再熱除湿
湿度を下げる際に冷却した空気をあたため直してから部屋に戻す機能です。室温を下げずに湿度だけを取り除けるので、梅雨時・夏場の冷えすぎを防ぎながら、サラッと快適に過ごせます。体が冷えやすい方や冬場の結露対策にも適しています。
■弱冷房除湿
弱運転で除湿する機能です。除湿して温度が下がった空気をそのままお部屋に戻すため、室温が下がります。気温が高い時に有効ですが、肌寒く感じる場合もあります。
■ハイブリッド除湿
ハイブリッド除湿は、湿度を下げる際に冷却した空気を部屋の空気と混ぜ、室温に近づけた状態で部屋に戻す機能です。室内の空気を使って温度調節し、再熱除湿のように温め直しは行わないので、再熱除湿より消費する電力は少なく済みます。
除湿に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
参考:エアコン専門サイト「エアココ」 | 意外と知らない?エアコンの「除湿」機能を賢く使う方法
空気清浄や換気機能付きの機種を選ぶ
断熱性が低く、外気の影響を受けやすい家は、花粉やPM2.5、外のにおいなども部屋の中に侵入しやすいと言えます。そこで、活躍するのが、空気清浄や換気機能付きのエアコンです。たとえば、パナソニックの「エオリア」やシャープの「プラズマクラスター」搭載モデルなど、ウイルス・菌・花粉の抑制に配慮した機能が備わっている機種は、外気の影響を受けやすい住まいにも適しています。
エアコンの空気清浄機能については、こちらの記事でも解説しています。
参考:エアコン専門サイト「エアココ」 | 【エアコンの空気清浄機能】効果とメリットは?メーカー別の特徴も解説!
まとめ
エアコンの効きが悪いからといって、必ずしも買い替えが必要とは限りません。
快適で省エネな住まいを実現するには、必要な機能を備えたエアコンと家の断熱性能の向上を掛け合わせることが大切です。
住まいの断熱性が低いとエアコンは本来の性能を発揮できないため、まずはDIYでできる簡単な断熱対策から試してみましょう。そして、エアコンを選ぶときには、除湿・空気清浄・換気機能をプラスしてご検討ください。
エアコンの性能 × 家の性能。両方をしっかり整え、快適で健康的な暮らしを手に入れましょう。




